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見ちょくれ聞いちょくれ ~あんしどぅすげぇわ(Foresters are tough and cool)~
こんにちは。今回は大分県豊後大野市にあります山林事業部BGOから林業グループについてお伝えします。全くの素人が目で見て体感した事を綴っておりますので、業界の方にとっては何とも当たり前の記事かと思いますが、逆に多くの方に新鮮に感じていただけると幸いです。
今回、私が行った現場は、事務所から1時間程の場所にあります。道が狭く、薄暗い、くねくねした山道をひたすら進み、石がゴロゴロした道をのろのろと走り、なんとか辿り着きました。現場は薄暗かった山道がパッと開け、山から切り出された木材がきれいに並んでいます。斜面の上の方は太陽の光が差し込んでおり、見上げるとメンバーそれぞれが重機やチェンソーで作業しているのが遠くに見えます。何度見てもテンションが上がる瞬間です。
まずは、チェンソーを使って木を倒している人のもとへ向かいました。スパイク付きの長靴を履き、ヘルメットを被り、手には手袋をはめ、いざ山登りです。現場の人にとってはそんなに急な斜面ではないそうですが、素人の私にとっては急斜面にしか見えません。山登りというより斜面登りです。私にはどこをどう上がるのか道筋が見えません。一歩一歩を考えながら足と手を使って這い上がるように登りました。やっと辿り着いた山の斜面では、一緒に登り始めたはずのSさんが涼しい顔で待っていました。当たり前ですが、毎日この斜面をチェンソーと燃料など重い荷物を担いで行ったり来たりしているんですね…。蜂がいたらその斜面を走って逃げなきゃいけないですし…。すごいです。
たどり着いたといっても、そこは山の斜面。自分が周りに迷惑かけないようにちゃんと立っていられる場所を探した後、チェンソーを使った木を倒す作業を見せてもらいました。その作業には木を安全にかつ正確に切り倒すためのいくつもの細かい決まりがあり、一つ一つを確認しながらの作業です。チェンソーが木に触れた瞬間の重みは、音となって耳に伝わってきます。伐倒に全集中したその目は、情報を逃すまいと一点一点に注がれます。木が倒れる瞬間、チェンソーの機械音が鳴りやみ一瞬静まり返ります…そしてミシミシと音をたて少しずつ木が傾き始め、バキッと大きな音と同時に斜面に倒れます。枝や葉っぱが重なりあって折れる音、重みの乗った低いズドーンという音とともに伝わる地響き…時間にして2分程でしょうか。長い年月をかけて生きてきた木を切るのは、簡単なことではないと体全体で感じました。そして、危険な作業であることも…。一つとして同じ木はなく、その場の状況も変わります。安全確認を怠らなくても、それでもあらゆる危険が潜んでいます。経験がものをいう世界です。そんな危険を熟知している経験者の言葉には、想いがたくさん詰まっていて、メンバーはそれを肌で感じ取っているように見えました。
山の上からは、全てが見渡せます。実際に作業している人は、全体を見渡すことができません。それでも、朝の打ち合わせや細かい連絡によって、一人一人が周りを意識し、まるで全体が見えているかのように動いています。現場の雰囲気はとてもよく、みなさんが時折見せる笑顔は、とても素敵でした。
今回、こんな足手まといのおじゃま虫に、どなたも親切に丁寧に教えてくれました。たくさんの話の中から、林業を続けていく責任と誇りを感じました。私が見た一人一人の表情、細かい気配り、技術をご家族に見せたいといつも思います。きっと家とは違った表情だと思うので…。林業に限らず、一生懸命仕事している姿はかっこいいですよね。
職場では、いつもどこかで、「ご安全に」という言葉が聞こえてきます。私も日に日に、「ご安全に」の言葉の重さがわかってきました。大変だけど、誇りを持って仕事をしている方達に尊敬の思いと祈りを込めて…今日も明日も「ご安全に」。